【ネタバレ有★3】情念のにじむ花魁たちの壮絶な人間ドラマ「吉原炎上」
深夜の再放送で、観月ありさ主演のテレビドラマ版「吉原炎上」を見たことがあったのですが、元祖作品を知らないなーと思って「吉原炎上」を U-NEXTでみました。
【PR】【国内最速No.1】高性能レンタルサーバーConoHa WING
基本情報
あらすじ
明治末、久乃が吉原の中梅楼に女郎として売られてきたのは18歳の春のことだった。やがて、久乃は若汐という源氏名をもらうが、初見世の時、客の前から逃げ出してしまう。店の者に追われる中、久乃は娼妓の自由廃業運動をしている古島信輔と出会う。(「吉原炎上」の動画視聴・あらすじ | U-NEXT )
映画データ
公開:1987年
監督:五社英雄
上映時間:132分
制作国:日本
役名 | 紹介 | 俳優 |
---|---|---|
上田久乃→若汐→紫太夫 | 父の借金工面のため吉原に売られる。花魁として「若汐」の源氏名を名乗り、最初の客といざ事を始める直前に羞恥心から逃げ出し、捕えられて厳しい折檻を受ける。しかし徐々に花魁としての自尊心が芽生え、御職を目指すようになる。 | 名取裕子 |
菊川 | 久乃の先輩女郎で仲が良く、「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合っている。貧しい家の娘で、女郎暮らしながら白米を食べられると喜び、自身の古着を実家に送っている。「要領が悪く、稼ぎが悪いから」との理由で、女将から言われて品川にある別の遊郭に住み替えした。物語終盤、吉原遊郭では最下層の店が並ぶ羅生門河岸の長屋女郎にまで、身を落としていた。 | かたせ梨乃 |
小花 | 中梅楼の三番花魁、周囲には「徳川家の典医の家系だったが、両親が亡くなったため、帝大の医学部に通う弟のために花魁になった」と吹聴し、弟の写真を肌身離さず持っている。その後、恐らく肺結核で喀血して体調を崩し、御職の座を紫(若汐)に奪われる。その屈辱から半狂乱となる。 | 西川峰子 |
ほか |
感想
★★★☆☆(3)TVドラマ版との違いが興味深かったです
TVドラマ版では主人公が吉原の中で人に揉まれ、裏切られ、大人になり、自身で取捨選択をする様を追っていて(五社版もここまでは同じ)、最後にちゃんと幸せになって終わるので、同じ原作をベースにしているものの、かなり違う作品だったなと思いました。テーマが違うから、同じシーンでも描き方がやや違う。違いを感じながら見るのは面白かった。
登場人物の中に、状況を変えられる人が1人もいないんですよね。吉原に一度入ってしまったら、出ていく時さえも【身請け=高額売買】として吉原のシステムに組み込まれてしまう。花魁達は皆気丈に振舞っているけど虚勢にすぎず、女性が主体を持つことが考えられない時代だったんだなとわかります。
登場人物の間で、花魁同士のヒエラルキーが変わっても、状況の根本的な変化はない。常にどこか無力感があって、突き詰めていくと「そういう時代だったから」としか言いようがないんだけど、心身共に抜け出す事は出来ない吉原の中で、もがく人々の様子、人間ドラマが執拗に描かれている。女たちが諦めたり覚悟を決めたり、ひょんな事から感情を爆発させる様子に、情念がにじみ出ている。名取裕子演じる野暮ったい主人公が、終盤凄みのある女になる様も見とれてしまうものでした。
昭和映画(ドラマ)の「すっきりしない」面白さ
見終わった後に「素敵なメッセージがあったね!明日から頑張ろう!」みたいに思える話じゃないんですけど、目が離せないし、胸に残るものがある。昭和映画の滋味深いところなのかな。
濡れ場の描写も多いですが、エロいかって聞かれるとそうでもない。生々しさはあるけど現実のものではなく、凄みがあるとか、怖いとかの感情が近いと思います。顔白塗りだしね…。五社英雄さんって極妻のイメージが強く、自分には縁のない監督だと思っていたけど、他の作品も見てみようかなーと思いました。
映画・ドラマ・アニメを観るならおすすめ
「吉原炎上」はU-NEXTで視聴できます【こちらから】。映画、ドラマ、アニメの動画視聴ならU-NEXT。最新作も超充実なコンテンツ数が特徴です。その数120000本以上。